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May 29, 2005

体内時計を生かす「時間治療」

(毎日 4月28日付)

体内時計が刻む生体リズムが、病気と大いに関係していることが分かってきました。
このリズムを利用した「時間治療」が今、注目を浴びています。

■がんは夜たたく

「がん細胞は夜たたくと効果的です」と、横浜市立大医学部長の嶋田紘教授。
同大付属病院は、肝臓がん患者に抗がん剤を夜間に投与する時間治療を実施。
健康な細胞は、昼活発に活動し、夜は静かになります。
がん細胞は、昼夜を問わず活動しています。
活動中の細胞ほど薬の影響を受けるため、集中的にがんを攻撃できます。

「夜間は、副作用が少なく、昼の1・4~1・7倍の大量投与が可能です」と。
これまでの25例中15例で、がん細胞が縮小するなどの成果を上げました。
「抗がん剤を使っても、薬の効きにくいがん細胞は残る。
小さくしてから手術で切るなど、複数の治療の組み合わせが肝心です」と。

しかし時間治療は、夜間の人手が必要なため、病院の負担が大きい。
嶋田教授は「実績が認められ、国の制度的サポートが得られるなど
状況が変わらないと普及は難しいでしょう」と。

■月曜の危機

東京女子医科大付属第二病院の大塚邦明教授は、
「起床時の血圧は睡眠時より高く、血圧上昇度(モーニングサージ)は月曜が高い。
月曜に心臓発作や脳梗塞が多いのは、血圧上昇がその主因ではないか」と。

大塚教授らは、135人(平均年齢57歳)の血圧を24時間、7日間記録。
その結果、月曜のモーニングサージは、最も少ない日曜朝に比べ、約2・5倍も増加。
「退職者でも月曜の上昇度が高いことから、仕事を始めるストレス以外にも、
体内時計の7日間のリズムが関与している」と。

体内時計では、約24時間で一巡する概日(サーカディアン)リズムが有名。
夜行性動物は約23時間、昼行性動物は約25時間と、1時間の「遊び」があり、
朝の日光を浴びるなどすると調整されます。
血圧、体温、ホルモン分泌など生理状態、うつ病など心理状態も概日リズムで変動。
このリズムを利用して、同病院では血圧を24時間計測し、
心筋梗塞や高血圧の薬の種類、投与のタイミングを決める時間治療を行っています。

体内時計の本体は、脳の視交叉上核にあります。
この「時計遺伝子」の研究が世界的に進んでいます。
日照や地磁気、季節など地球や太陽の動きに生物が適応した結果と推定。
「時計遺伝子の分子構造は、ショウジョウバエからヒトまで非常に似ています。
カンブリア紀以前からの古いメカニズムでしょう」と大塚教授。

■可能性は無限

生体リズムは、ダイエットなどにも有効。
計測機器メーカーのタニタは、月経周期に合わせた「女性ダイエットモード」を備えた
体組成計「インナースキャン」を発売。
「女性は、排卵を境に黄体ホルモンが増え、心身が不安定に。
月経後の体力、気力が充実する時は、ダイエットにも最適。
今がどちらの時期か表示できるようにしました」と、同社の西澤美幸課長。

大塚教授は、「将来は、薬で体内時計をコントロールできるかもしれない。
時差ぼけや夜勤時の体調調整、生体リズムの乱れが関与する
うつや引きこもりの治療まで、可能性は無限です」と。

http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/kenko/news/20050428dde012100069000c.html

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