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July 27, 2005

私の提言/2 慶応義塾高校地学教諭・松本直記さん

(毎日 7月6日付)

◇物・化・生・地を網羅、「必修理科」に--なぜ学び何が分かるか、学ばせる

自然現象の原理を理解することと、理科の問題を解く技術とは別物です。
しかし、高校の授業は、公式を覚えて当てはめるような問題演習に偏りがち。
これではおもしろくありませんし、科学技術で日本を支えていく人材も育ちません。

03年度の新学習指導要領で、中学で学んでいた内容の一部が高校に移行。
高校で教えることが増え、週5日制の結果、あちこちに無理が出ています。

慶応高校の場合、以前は文系の生徒でも、
理科は物理、化学、生物、地学の4科目すべてが必修でした。
さまざまな視点で自然を見ることが重要だと考えていたからです。
しかし、今は1年で化学を必修とし、2年で二つを選択させ、3科目に。

全国的に、理系でも2科目、文系は1科目だけという学校は少なくありません。
触れることのできる科学の内容はどんどん狭まってきています。

物理、化学、生物、地学の4領域を網羅した新しい「必修理科」の創設を提案。
基礎科学から応用科学までをカバーし、科学をなぜ学ぶのか、
そこから何が分かるのか、ということを全員に学ばせるのです。

これには、科目の壁を超え、内容を再編成することが必要です。

私が教えている地学は、時代の変化によって教えるべき内容も変わっていきます。
旧来は、博物学的な要素が強いのですが、研究が進んで分かってきた部分、
例えば、地球のプレート活動や気象の仕組みについて教えたい。
これらは、自然災害の理解にもつながり、文系、理系問わず知っておくべきです。

基礎知識を身につけ、実験や実習で、体験的に科学を理解できるような環境に。
また、授業で学んだことが社会でどう使われているかを示すことも大切。

例えば、数学の三角関数を使い、地球から天体までの距離を計算すると、
生徒は「そんなふうに使うのか」と驚き、学ぶ意欲を見せます。

こうした改革は、高校だけでやっても効果はありません。
難問を解くことが、一流大学へのパスポートになっている現状がある限り、難しい。
大学入試が変わる必要があります。

慶応義塾創立者、福澤諭吉は、最初に自然科学を、
後に経済学や法学などを学習させます。「この順番は決して変えてはならない」と。
科学は、論理的に物事を考えるよい訓練になるからです。

問題に直面した時、物事を数量でとらえて考えたり、
条件を変えて結果を比較する、といった科学の手法は必ず役に立ちます。
高校で科学を大いに楽しみ、その学力で大学へも進学できる環境がもっと広がれば、
よりよい人材が育つのではないでしょうか。
……………………………………………………………………………………
◇まつもと・なおき

1966年、鳥取県羽合町(現湯梨浜町)生まれ。横浜国立大教育学部卒業。
民間企業勤務を経て、90年から現職。「理科年表ジュニア第2版」(丸善)、
「新しい科学の教科書3~現代人のための中学理科」(文一総合出版)など執筆。
気象予報士。

http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20050706ddm016070094000c.html

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